大人の遠足!メトロに乗ってラーバン職人の街見学ツアー‏

2015年10月20日
さくら会の今月のイベント「大人の遠足!メトロに乗ってラーバン職人の街見学ツアー」が 10 月9 日金曜日に開催されました。
来るダシャラのお祭りで燃やされるラーバン人形を作る街Titarpur をHimansh Verma氏の案内で見学するツアーです。今回 MOSAI 日本語学校から 4 人の学生さん達が通訳ボランティアとして私たちに同行してくださいました。
 
デリー組はコンノートプレース、グルガオン組は Dwarka Sector 21 のメトロの駅にそれぞれ集合し目的地 Tagore garden 駅へ向かいました。今回初めてメトロに乗るという方も多く、トークンを買うところからわいわい教え合いつつ遠足のスタートです。
 
メトロは構内も車内も清潔で Tagore Garden 駅まで快適に移動できました。そこで Himansh 氏と合流。駅で街についてのイントロダクションを受けた後、いくつかの主なお店を Himansh 氏の案内で回っていきます。
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Titarpur は、元々火葬用品を作る人々の集落で、遺体を火葬場へ運ぶ為のアルティと呼ばれる担架や遺体に着せるカファンなどが作られていたそうです。60 年ほど前、スィカンダラバードから移住してきたある人物が趣味でラーバン人形を作り始め、村の子供がその真似をして、ラーバン人形を作るようになりました。かつては3家族のみでしたが、グジャラート州やビハール州からやってきて働いていた人々が独立し、Titarpur のラーバン人形はデリー中で有名となり、ラーバン人形の製作者達はラーバンワーラーと呼ばれるようになったそうです。

この街では普段リクシャーのドライバー、お店の経営、音楽隊の一員等、様々な職業に就く人たちが 1 年の内ダシャラ前の 2 か月だけラーバンワーラーとなり、それぞれ独自の世界を作り上げています。今回のツアーはダシャラ 2 週間前で、製作中の全工程が見られるエキサイティングな時期。ダシャラ直前の週末頃には、全部彩色されて街中がカラフルな鬼に埋め尽くされるそうです。
 
駅を降りるとすぐにメインロード沿い、中央分離帯、さらには駅の階段の下などに大きなラーバンの頭、胴体、手などが所狭しと並べられ、いくつかは色鮮やかな布がすでに張られており街がとても賑やかです。

駅近くに一件目のお店がありました。お店といっても道端に勝手にラーバン人形を作って広げているといった風情ですが、ツアー参加者の皆さんは竹で組んだラーバンの頭に紙が貼られていくのを目の前で見て、糊は何で作られているの?出来上がりはどのくらいの大きさになるの?など次々と質問をして興味深く見学をされていました。出来上がったラーバン人形たちは手足胴体ばらばらのままデリー各地のラムリーラ(ラーマーヤナのお芝居)会場などへ運ばれ現地で組み立てられます。なんと海外から注文が入ることもあるそうです!
 
この一帯を歩いて見ていくと、同じように見えた顔にも個性があることに気付きます。
人形の頭の部分を作るには、まず竹を割いた竹ひごで骨組みを組み立てていきます。

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竹ひごのたわみを使ってひげ、あごの部分の曲線をデザインしていきま
すが、どれもユーモラスな顔ながら、ひげの張り出しの形やあごの形が違ったりして竹の曲線がと

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ても美しく職人さんたちのこだわりが感じられます。ひげが大きくうねったものやツノが鬼のように出ているものもあり、その年その年で新しいデザインが生み出されているようです。おもしろいですね!

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家庭用の小さいラーバン人形を作っているお店には「デング熱をやっつけろ!」をテーマに、蚊を形どったものまでありました。盛大に燃やしてデング熱を追っ払いたいものです。
最後はこの界隈で最も有名だというラーバンワーラーのもとへ行き目が光るように細工され色鮮やかに完成した作品を見ることができました。
そちらで少し休憩し Himansh 氏が用意してくれたムルクルという揚げ菓子とチャイでほっと一息。
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この日、日中は 35 度を超える暑さ。熱心に見るあまり予定時間を超えて街をねり歩き、参加者の皆さんはお疲れだったことと思いますが、普段歩かない街を見学できたからか、とても満足げな表情でした。
 
Himansh 氏の話では、ラーバンワーラーの中には自分が丹精込めて作った人形を燃やされるのが嫌だとセンチメンタルな気持ちになって、ダシャラのお祭りには行かない人もいるとか。このツアー前日の新聞には「作っている人形に名前をつけているので、燃やされるのを見るのは家族が燃やされているようで辛い」とラーバンワーラーが語っている記事が載っていました。それだけ思いを込めて作っているということですね。この街では魔王も家族としてかわいがられているようです。

 

ツアー終了後、コンノートプレースまでメトロで移動し文化部長一押しのアイスクリーム屋さんNatural Ice Cream でおいしいアイスを食べてお開きとなりました。 
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インドの文化を一歩踏み込んで案内してくださった Himansh 氏、心強かった通訳ボランティアのチャルさん、アプルワさん、シャシャンク君、ヒマンシュ君、野外、しかもメトロに乗っての大人数の移動にも関わらず、興味深いエリアをゆっくり見て歩けるよう万全の準備をしてくださった文化部の皆さんに感謝したいと思います。

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ダシャラのお祭りではインドの叙事詩ラーマーヤナのクライマックス部分が各地のラムリーラ会場で演じられます。ラーマ王子が妻シータを取り戻すためラ
ンカ島で魔王ラーバンと死闘を繰り広げ最後にランカ島ごと魔王を燃やしてしまうという部分で、ラーバン人形が盛大に燃やされます。ラーマーヤナはヒンドゥー教徒の間で親から子へと語り継がれてきた二大叙事詩のひとつ。インド文化を知る上でなくてはならないお話です。そしてこのお話が日本の桃太郎の鬼退治のお話のもとになったという説もあると聞けば親しみを感じずにはいられません。

ラーマーヤナのお話を詳しく知りたい方は、日印合作アニメ映画(日本語字幕つき)がお勧めです。3D アニメ・ラーマーヤナ
パート① https://www.youtube.com/watch?v=kdFZLFAnwOc
パート② https://www.youtube.com/watch?v=tO6oAO816SQ
パート③ https://www.youtube.com/watch?v=6hoOQxuI7Uk

◎ラムリーラがデリーのカマニオーディトリウムの近く shiriram bharatiya kala kendra で 10 月13 日から 11 月 9 日まで演じられています。
インドにいるうちに一度は見に行ってダシャラのお祭りをさらに楽しまれてはいかがでしょうか
http://www.thekendra.com/ram.html
◎もっとインドを知りたい方、ガイドの Himansh 氏が主催するツアーに出かけてみてはいかがでしょう?
http://1100walks.com/

(編集後記)
メトロの中は清潔で日本と変わらないほど。違うのは…少しでも隙間を作らせ(見つけるのではなくて作らせるのです)座ろうとする人がいること!この日、ツアー参加者と通訳ボランティアが座っている座席の間に隙間を見つけ座ろうとしたインド女子。二人の膝の上にしっかりと座っていました(再現イラスト:文化部長富安さんより。上手い!)。本当に隙間があったのか!?あるいは、膝の上に座ってもインド人的にはオッケーなのか…!?アプルワさんに
聞いたところ、ぎゅうぎゅうに座るのはインドでは当たり前だけど膝に座られてびっくりしたとのことでした…。インド人もびっくり!の出来事でした。
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