先輩マダムに聞く! インドdeおもてなし

海外暮らしをすると、日本にいる時よりもお客様を自宅にお呼びする機会が増える方も多いと思います。おもてなしなんてわからない!どうしたらいいの?誰に教わったらいいの?と慌てないように、先輩マダム 松下まゆみさんに『おもてなしの極意』について聞きに行ってきました!

松下さんは現在、2度目のインド駐在中。最初の駐在の時はご自身も駐在員だと思って、インドでお客様をおもてなしすることを仕事と考えていたそうです。食材も今のように豊富ではない、ハードシップが更に高かった時代にお客様は平均週に4回ほどいらっしゃっていたとのこと。現在も5人の使用人を雇い、飴と鞭を使い分けながら(笑)教育しているベテランマダム。そのおもてなしの極意とは…?

omotenashi01.jpg
松下さんのおもてなし極意
お客様がいらっしゃったら、すぐにはテーブルへ案内せず、リビングで簡単なスナックと一緒に飲み物をお出ししてお客様が揃うのを待っていただくそうです。待っていただいている間に、お客様が手持ちぶさたにならないための配慮です。
その間にテーブルに前菜の準備を…。歓談中にご主人とお客様が仕事の話になることもあるので、なるだけさりげなく、前菜のセッティングが整ったことをご主人へ伝えます。ご主人がタイミングを見計らってお客様をテーブルへご案内。皆さんが揃っていれば、着席もスムーズにできます。
すでにリビングで会話を楽しんだ後なので、テーブルでも和やかな雰囲気でお食事が始まることでしょう。テーブルで食事をするからとすぐにテーブルに通さない。おもてなし初心者には思いつかない極意です。
omotenashi02.jpg
お料理に大興奮♪美味しさの訳は気長な特訓にあり
今回は日本人としての基本、和食でのおもてなしとして会席料理をご準備頂きました。会席料理なんて食べたことはあっても自分ではなかなかできないですよね。外国の方や海外のなれない食事で胃が疲れた日本人の方々をもてなすには和食が一番です。会席料理と聞くと敷居が高いですが、それができたらマダムとしての格もアップすることでしょう。
取材陣がテーブルにつくと、セッティングされた数々の前菜を見て驚きの声があがります。かわいいかごに入った小鉢やグラス。センスの良さが光ります。家庭料理…というより、まるで料亭です。次々と出てくる美味しいお料理に広報部員思わず大興奮!(笑)
メイドが食事のタイミングを見計らいサーブすることにも驚きましたが、献立をすべてコックが考えていることにとても驚きました。しかもインドは、日本のように同じ食材がいつもスーパーに並んでいるわけではありません。予定していた献立が、食材が手に入らなくて作ることができないことも、インドならではのアクシデント(停電や断水、ガスシリンダーが切れる等)も多々あります。そんな時、コックは自分で献立を変更して対応するそうです。その秘密は、コックにひとつの素材につき、5つのバリエーションを覚えさせること。そうすれば、食材が足りなくてもアクシデントが起きても味付けや調理法を工夫したりして変更ができるようになるそうです。
なるほど…と思いつつ、その5つが私に教えられるかしら…と頭をよぎります。ちょっと考えてみましたが思いつくのは2つか3つでした…。

omotenashi05
和食を知らないインド人コックに作り方を教えるなんて想像できないくらい大変そうです。松下さんは、コックには必ず味見をさせるそう。味を知らなければ、料理の腕も向上しない。だから必ず味見できる人を雇って、どんどん味を覚えさせ、おもてなしのたびに反省会を開き、塩加減や盛りつけなどについても話をするそうです。何か不得意なものがあった場合は、くり返し作らせて、満足行く物が作れるようになるまで家族も一緒になって試食の連続。時に優しく、時に厳しく…根気よく教育をし “育てる”ことが大切だということを教えてもらいました。

季節に合ったコーディネート
松下さんは季節感を特に大事にされており、食事やテーブルセッティング、インテリアや小物に至るまで季節にあったものを用意されるそうです。ランチョンマット100枚、コースターも数えられないほど!食器も最低10セットは準備しているそうで、様々なコーディネートに対応できるよう考えられています。
グラスや食器は、品質が良く見栄えがいいものを選ぶのはもちろんですが、メイドが常に扱うため、なるべく丈夫な物を選ぶとよいとのことでした。
また、異素材のものや違ったテイストのものを合わせる時には、ランチョンマットの上に一枚和紙を敷くなど工夫をすることで、全体の調和が取れるように気を配っているそう。おもてなしには、器やテーブルコーディネートも大切な要素のひとつですね。なるほど、勉強になります!

omotenashi03
取材をした11月の終わり、すでに松下さんのお宅はきらびやかなクリスマスデコレーションがたくさん!お宅のドアを開けた瞬間、天井まで届く大きなクリスマスツリーが目に飛び込んできました。一緒に飾られたリースやオブジェもかわいらしくて味わいがあり、まるで夢の国に迷い込んだような気分に…。松下さんは、世界中でクリスマスグッズを買い求めているそうで、ひとつひとつのオブジェについての説明を聞いていると、ご自身が楽しく飾り付けされている姿が目に浮かぶようでした。その温かい想いが、部屋全体の幸せな雰囲気を醸し出しているのは間違いありません
omotenashi04
車までお見送りするのがおもてなし
お客様に笑顔で帰っていただくのが一番のご褒美だという松下さん。車までお見送りし、笑顔で送り出すまでがおもてなしです。見送りを受けた方が余韻を楽しみながら帰っていただけるようなおもてなしがしたいとおっしゃいます。
先輩マダムから、おもてなしについて教えていただける機会は、昔に比べると今はあまりないかもしれません。松下さんは「私も先輩マダムたちから沢山のことを教わり学びました。それを後輩マダムたちにもぜひ伝えたい。」と私たちの取材を受けてくださいました。今は日本食レストランもたくさんあるデリーの暮らし。家でおもてなしする機会も減りつつありますが、家にお客様を招くことはレストランでの会食とは違った満足感を提供することに繋がります。そして、おもてなし上手になるには、場数もこなさねばなりません。次にお客様をもてなすときはマダムのように自分自身も楽しみながら、ゲストの方々に笑顔で帰ってもらえるよう頑張ろうとひそかに誓った部員たちでした。

<編集後記>
取材中、広報部員と笑顔で歓談しながら、ふと松下さんがサーブ中のメイドの名前をやや強めに、けれども周りには気づかれないよう小さな声で呼んだことがありました。見るとどうやらメイドがお椀の置く位置を間違えたようでした。その場を楽しまれているようで常にお客様の様子やメイドたちの振る舞いに目を配ることを忘れない松下さん。インドのおもてなしにゴールはないのだなと感じました。また注意されたメイドも素直な態度でその後も笑顔を忘れません。松下さんとメイドの信頼関係を垣間見たような気がしました。(さくら会広報部)